

木枯らしぃ吹き始めるってぇと中々温てぇ寝床から這ぃ出せねぇてな塩梅になるもんだが、さぁ、いざ吹っ切って蒲団跳ね上げたてぇそっからが又朝の一連の儀式の執り行うにゃぁ聊か難儀に感じるもんで、はなまるの今朝も目ぇしょぼつかせて寝起きの恒例たる歯磨きぃしてたてぇ思っちくんな。


歯ぁ磨くなぁ別段吝かでも無ぇんだが一通り磨き上げて、扨、用済みの磨き粉ぉ洗い流すてぇ段に至って、ちょいと躊躇させられるのが左手のカップに満々と湛えられた漱ぎ用の水の、頃日如何にも冷え冷えとした様だぁね。


えぇぃ、男の子!
てぇんで一気にカップぅ傾け泡だらけの口中に流し込むはなまるさん…てぇ、そんな勇ましいもんでも無ぇんだが、


此間歯医者ぁ掛かって悪りぃ処ぁ皆治しちまった筈だから、先生のお墨付きてぇもんで、煙草の煙の目に染みるならず、嗽の水が奥歯に染みる強烈に…となるこたも無ぇ、取り立てて騒ぐ程も無ぇ、云ってみりゃぁ冬将軍の足音も近けぇ、晩秋の風物詩てぇわけかね。